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用語集

脊髄損傷

脊髄損傷 せきずいそんしょう、英語:Spinal Cord Injury

何らかの理由により脊柱に強い外力が加えられることにより脊椎がダメージをうけ、脊髄が損傷をうける病態です。近年日本国内で、外傷性の脊髄損傷の原因は、平地転倒がもっとも多く約40%を占めています。次いで高所からの転落、交通事故の順となっています。平地転倒の多くは高齢者で高齢化の影響を受けていると考えられています。脊髄損傷は内的原因によっても同様の障害が発生します。20−30%は外傷以外によるものであり、後天的性に発生する場合が多く、脊髄の炎症・腫瘍・血管の異常などが原因です。脊髄を含む中枢神経系は一度損傷すると修復や再生はされないと考えられていましたが、霊長類の実験レベルで幹細胞移植による中枢神経の回復が認められています。

脊髄ショック せきずいしょっく、英語:Spinal Shock

重度の脊髄損傷では突然脊髄の全機能が失われ脊髄ショックと呼ばれる状態となります。 損傷部位以下の前感覚や知覚の脱失、運動障害、膀胱直腸障害などのような身体の基本的な機能が失われる時期の事をさします。最初は弛緩性麻痺となり、反射も消失してしまいます。しかし、脊髄ショック期は真の障害像を示しているわけではなく、脊髄は必ずしも完全に損傷しているとは限りません。脊髄ショック期はおよそ24時間から対麻痺では3週間、四肢麻痺では6週間は、個人により差はあるものの神経学的に回復が見られることがあります。しかし、受傷から数週間〜数ヶ月経過して慢性期に入っていくと、次第に受傷部より下方は痙性麻痺に変わり、腱反射も亢進していきます。

脊柱 せきちゅう、英語:Vertebral Column

7個の頸椎(C1~C7)、12個の胸椎(T1〜T12)、5個の腰椎(L1~L5)、1個の仙骨、1個の尾骨からなります。 仙骨は5個の仙椎が融合したもので、尾骨は3〜5個の尾椎が融合したものです。融合した仙椎、尾椎を数えると32〜35個の椎骨となります。

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脳・神経系

神経は体正中部に集合して存在する「中枢神経系」と、中枢外に存在する「末梢神経系」とに分けられます。中枢神経は「脳」と「脊髄」の2つから、そして末梢神経系は、「体性神経系」と「自律神経系」の2つから成り立っています。

中枢神経(系) ちゅうすうしんけいけい、英語:Central Nervous System;CNS

神経系は大きく分けて、中枢神経と末梢神経からなります。中枢神経は多数の神経細胞が集まって大きなまとまりになっている領域で、脊椎動物では脳と脊髄がこれにあたります。脊髄は背側の体腔に位置し、脳は頭蓋腔の中にある。どちらも髄膜に覆われている。また脳は頭蓋骨、脊髄は脊椎骨にも守られている。感覚、運動、意思、情緒、反射、呼吸など、体のあらゆることに関するコントロールタワーの役目をしています。目や耳、手足、体幹、内臓などの末梢神経から情報を受け取り、判断し、指令を出す重要な役割を担っている。

のう、英語:Brain

脊椎動物の頭蓋腔内にある中枢神経の部分であり、神経管の末端が肥大したものです。頭蓋内腔の大部分を占めており、成人で体重の2%ほどにあたる1.2〜1.6キログラムの質量があります。脊髄とともに中枢神経系をなし、感情・思考・生命維持その他神経活動の中心的、指導的な役割を担います。脳は、大脳・小脳・脳幹に大きく分けることができる。脳幹はさらに間脳・中脳・橋・延髄に分けられます。

脊髄 せきずい、英語:Spinal Cord

脊椎動物の脊柱管内にある中枢神経の部分で脊髄神経が出入りします。人差し指程度の太さで、下方は脊髄円錐となって第1〜2腰椎の高さで終わっています。上方は脳(延髄)に連なり、上方から頸部(頸髄)、胸部(胸髄)、腰部(腰髄・仙髄・尾髄)に区分されます。これを髄節と呼びます。第5頸髄から第1胸髄までの髄節は上肢を支配し、第12胸髄から第4仙髄までの髄節は下肢を支配しています。それぞれの髄節の左右の腹側から運動神経根が、背側から感覚神経根が末梢に出ている。腹側神経根と背側神経根はやがて合わさって脊髄神経となります。脊髄は運動、感覚など中枢からの信号を末梢方向に伝える経路、または末梢からの情報信号を中枢方向に伝える経路です。

末梢神経(系) まっしょうしんけいけい、英語:Peripheral Nervous System; PNS

末梢神経系は、体性神経系と自律神経系の2つから成り立っています。1000億本以上の神経細胞からなり、糸のように全身に張り巡らされ、脳と体のその他の部分をつなぎ、また神経同士でもつながっています。末梢神経は、神経線維の束でできていて、直径の大きさにより、さまざまな速度でインパルスを伝えています。

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体性神経系

体性神経(系) たいせいしんけいけい、英語:Somatic Nervous System

体性神経は全身にくまなく行き巡っており、脳神経と脊髄神経のからなります。随意筋または骨格筋と皮膚にある感覚受容器を、脳や脊髄につなぐ役割を果たしています

脳神経 のうしんけい、英語:Cranial Nerve

脳神経は脳幹から出入りしている12対の末梢神経で、頭部・頸部・内臓などに広く分布しており、 運動や知覚などの神経が含まれています。

脊髄神経 せきずいしんけい、英語:Spinal Nerve

頸神経(C1~C8)8対、胸神経(Th1〜Th12)12対、腰神経(L1~L5)5対、仙骨神経(S1~S5)5対、尾骨神経(Coc)1対の計31対からなります。脊髄から発する末梢神経で、各椎体からつ椎間孔を通って左右1対ずつ出ています。それぞれの神経は、2本の脊髄神経根に分かれ、1つは脊髄の前から(腹側神経根、運動神経根)、もう1つは脊髄の後ろから出ています(背側神経根、感覚神経根)。前者は遠心性・運動性の神経線維から、そして後者は求心性・感覚性の神経線維からなります(ベル・マジャンディーの法則)。腹側神経根と背側神経根はやがて合わさって脊髄神経となります。そこからさらに前枝と後枝に分かれており、前枝は求心性と遠心性が混合した繊維で頸部、腕、腰、仙骨で神経叢を作り、後枝は背部の皮膚、固有背筋を支配します。

求心性神経(感覚神経) きゅうしんせいしんけい・かんかくしんけい、英語:Afferent Nerve/Sensory Nerve

神経には2通りの情報の伝わり方があります。1つは、末梢から中枢に伝わる方向です。これを求心性神経(感覚神経)といいます。もう1つは中枢から末梢に伝わる方向です。これを遠心性神経(運動神経)といいます。感覚神経は末梢からの感覚に関する情報(体の位置、明るさ、触感、温度、痛み)を脳へ運びます。感覚神経は、それぞれがデルマトーム(皮膚知覚帯)と呼ばれる、体のある特定の領域からの情報を運んでいます

皮膚文節知覚帯(デルマトーム) ひふぶんせつちかくたい、英語:Dermatome

脊髄神経は皮膚感覚を支配しています。各区分を1つの脊髄神経根の感覚神経線維が支配しており、何番の脊髄が皮膚のどこを支配しているのかということを示したものです。皮膚分節は文献などによっても図が異なり、一致した見解はありません。胸髄に関してはほぼ同じだが、上肢・下肢に関しては違いがあることはまれではない。

遠心性神経(運動神経) えんしんせいしんけい・うんどうしんけい、英語:Efferent Nerve/Motor Nerve

運動神経である前側の神経は、脳と脊髄からの指令を体の他の部分に伝道する経路です。特に骨格筋に伝えます。

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自律神経系

自律神経(系) じりつしんけいけい、英語:Autonomic Nervous System

末梢神経系のうち植物性機能を担う神経系です。不随意である自律神経系は随意神経系である体性神経系と対比されます。内臓・血管・分泌腺・平滑筋などに分布しており、循環、呼吸、消化、発汗、体温調節、内分泌機能、生殖機能、代謝、および排泄等のような生命を維持するために必要な機能を無意識のうちに常時調整しています。交感神経と副交感神経の2つからなり、双方がひとつの臓器を支配することも多く(二重支配)、またひとつの臓器に及ぼす両者の作用は一般に拮抗的に働く(相反支配)。

交感神経 こうかんしんけい、英語:Sympathetic nerve

闘争か逃走か(fight or flight)と総称されるような、身体的活動や侵害刺激、恐怖といった広義のストレスが多く緊張・興奮時に優位に働き、運動に適した状態にします。例えば、瞳孔の散大、気管支の拡張、心拍数の増加、血圧の上昇などで、反対に消化器官などの働きは抑制されます。

副交感神経 ふくこうかんしけん、英語:Paraympathetic Nerve

平常時・リラックス時に優位に働き、次の活動に備えさせる働きをします。例えば、唾液分泌の促進、心拍数の減少、血圧の降下、消化液分泌の促進、消火器蠕動の促進などです。

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脊髄損傷の分類

ASIA American Spinal Injury Association

ASIAは、アメリカ脊髄損傷協会の略で、同協会がまとめた脊髄損傷の評価尺度の略語も意味しています。現在、脊髄損傷の神経学的および機能的分類のための国際基準です。運動レベル、感覚レベルの判定を左右別々に行います。感覚検査においては触覚と痛覚の2種類の感覚が必須の感覚評価です。これらが脊髄の違った経路を通って情報が伝達されるためです。仙髄領域の機能が残されているか否かによって「完全損傷」と「不完全損傷」に分類されます。

完全損傷 かんぜんそんしょう、英語:Complete

脊髄が完全に損傷された状態で損傷部位以下の機能が完全に麻痺している状態をいいます。仙髄機能が温存されておらず肛門周囲の知覚や肛門括約筋の収縮が見られない場合をいいます。完全損傷と分類するには肛門の深部圧覚の消失を示す必要があります。完全損傷と決定された場合、ASIAスコア「A=完全」となります。

不完全損傷 ふかんぜんそんしょう、英語:Incomplete

仙髄機能が温存されている状態で、その指標として肛門周囲の知覚の残存、肛門括約筋の収縮のどちらか1つでも認められている状態をいいます。3つに分類されており、 「B=不完全」仙髄の分節S4-S5を含む神経学的レベルより下位、で運動機能は消失し感覚機能は残存。 「C=不完全」神経学的レベルより下位において、運動機能は残存、主要筋群の1/2以上は筋力3未満。 「D =不完全」神経学的レベルより下位において、運動機能は残存、主要筋群の少なくとも1/2は筋力3を有する。

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自律神経機能障害

自律神経過反射 じりつしんけいかはんしゃ、英語:Autonomic Dysreflexia / Hyperreflexia

末梢麻痺域への刺激により自立神経反射が起こった時に、上位からの抑制信号が到達しないため反射が継続する状態をいいます。T6レベル以上の脊髄損傷者のほとんどに見られる合併症であり、生命の危険をともなうこともあります。末梢麻痺域への代表的な刺激は、膀胱の充満あるいは拡張(カテーテルが栓をされている、あるいはねじれていることに起因することが多い) 、宿便、感染(膀胱など)、褥瘡、外傷による苦痛です。症状は頭痛、立毛、高血圧、除脈、損傷レベルより上の発汗、ぼやけた視野、損傷レベルより上の皮膚の潮紅などです。

起立性低血圧 きりつせいていけつあつ、英語:Low Blood Pressure; LBP

頸髄損傷および胸椎の5番以上が損傷している場合、平行している交感神経も損傷を受けています。そのため臥位から座位、立位のように姿勢を変換して血液が下方に移動した際、血管を収縮させたり、心拍、心拍出量を増加させたりして血圧を一定にする機能が低下し血圧が下降してしまいます。また麻痺部の筋ポンプ作用が使えないことや、下肢を中心とした血管収縮が得られなくなり出現します。すると貧血のような状態になり、目の前が真っ白になります。このような状態に陥ってしまった時は、前屈する事や腹部を押してもらうのが有効です。徐々に座位時間・トレーニング時間を増やすことで落ち着いてきます。

体温調節障害 たいおんちょうせつしょうがい、英語:Thermoregulatory Disorder

自律神経障害のため外気温が上昇した場合でも発汗できず体温を十分に分散させることができない状態です。 外気温が高い場合はうつ熱状態になります。

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脊髄損傷後の変化

痙性 けいせい、英語:Spasticity, Uncontrolled Muscle Contraction

脊髄損傷者は下半身、受傷部位によっては手や腕も麻痺しているため、自分の意思で動かすことはできません。 しかし、自分の意思とは関係なく筋肉の反射性収縮が起きることがあります。これを「痙性」といいます。 脊髄の神経細胞は脳との連絡を断たれると、反射が亢進し、徐々に過剰に活性化するようになります。皮膚への接触や刺激、筋肉や膀胱の伸張などの単純なことが引き金となり起こります。脊髄損傷後にみられる筋収縮の代表的なタイプは、ひざとつま先が強直して伸びてしまうもの (伸筋痙縮) と、股関節と膝が曲がるもの(屈筋痙縮)です。

神経性異所性骨化症 しんけいせいいしょせいこつかしょう、英語:Neurogenic Heterotopic Ossification;HO

損傷部位より下位の本来骨形成の起こらない軟部組織に認められる骨形成のことである。この骨は筋肉の間の、特に関節に近い部位に形成されやすい。脊髄損傷のすべての人に起こるわけではなく、どのような理由で特定の人のみに起こるのかも明らかにされていません。

萎縮 いしゅく、英語:Atrophy

使われないことによっておこる筋肉のサイズの減少です。筋肉そのものにその原因のある筋原性のものと、筋肉に指令や栄養を供給している運動ニューロンにその原因のある神経原性、なんらかの原因により長期渡って筋肉を使用しなかったために筋体積が減少し筋の萎縮をきたした廃用性に分けられます。ほとんどの脊髄損傷で、多かれ少なかれ廃用性の筋萎縮がみられます。

拘縮 こうしゅく、英語:Contracture

関節周囲組織や筋肉の硬化で各関節が他動的にも自動的にも可動域制限を起こす状態である。拘縮は、車いすの乗り降りや日常活動の妨げとなります。また、姿勢も変化させ、褥瘡の原因となります。

骨委縮 こついしゅく、英語:Bone Atrophy

骨形成より骨吸収のほうが多い状態をいい、骨量減少とも言われています。脊髄損傷者には麻痺域の荷重制限、筋ポンプ作用の欠如によって起こっていることが多いです。少しの外力によっても骨折することがあるため注意が必要です。

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合併症

尿路感染症 にょうろかんせんしょう、英語:Urinary Tract Infection;UTI

腎臓から尿管、膀胱を通って尿道口にいたる尿路に病原体が生着して起こる感染症のことをいいます。 多くの脊髄損傷者は自力での排尿が困難なため、カテーテル等を使用して導尿を行います。その際に細菌が侵入してしまうのが原因です。尿路感染は脊髄損傷者の2次障害の中でも多く、症状は頻繁な排尿、血尿、尿の色の悪さや臭いのきつさ、下半身のけいせいの増加、熱、寒気などがあります。

褥瘡 じょくそう、英語:Bedsore, Pressure Sore, Pressure Ulcer、ラテン語: Decubitus Ulcer

患者が脊髄損傷などにより長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合、体と支持面との接触局所で血行が不良となって、皮膚に壊死を起こすものをいいます。皮膚が赤らむ程度のものもあれば、真皮を突き抜けて脂肪層までえぐれている場合もあります。米国製の尺度(例:NPUAP病期(ステージ)分類)は壊死の深達度のより褥瘡の分類をしています。

深部静脈血栓症 しんぶじょうみゃくけっせんしょう、英語:Deep Vein Thrombosis; DVT

下腿深部静脈の血栓性閉塞により静脈の還流障害、うっ血を来すもので、主な原因は静脈内層の傷害、血液の凝固傾向の亢進、血流速度の低下です。ベッドでの長期間の安静や下半身麻痺などで、ふくらはぎの筋肉が収縮せず、血液が心臓へ送り戻されなくなり血流が遅くなり起こることがあります。血栓症は健康な人でも、長時間のドライブや飛行機旅行などで長時間座ったままでいると起こることがあり、「エコノミークラス症候群」としても注目を集めています。深部静脈血栓症ではわずかな炎症しか起こりません。血栓の周りの炎症が軽いほど、血栓が静脈壁に付着する力は弱く、はがれ落ちて塞栓となり、血流とともに移動して動脈内に入りこみ、血流を詰まらせる可能性が高くなります。また、ふくらはぎの筋肉の作用によって深部静脈に形成された血栓が押し出されることがあります。この血栓が血流に乗って肺へ流れ肺動脈が詰まると、肺塞栓症となります。軽度であれば胸やけや発熱程度で治まりますが、最悪の場合は死亡します。塞栓をきたす血栓が大きい場合は即死をきたすことがあります。DVTは死亡の危険性がとても高い疾患です。

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脊椎脊髄疾患

脊髄腫瘍 せきずいしゅよう、英語:Spinal Hemorrhage

脊髄内に発生した腫瘍や,クモ膜,硬膜,神経鞘,さらに脊柱管内の軟部組織や椎体に発生した腫瘍により,脊髄や神経根が圧迫される病気の総称です。主症状は,腫瘍の種類に関わらず通常は脊髄圧迫症状です。多くは四肢の神経痛や筋力低下,感覚のしびれがみられます。中には,比較的急激に発病して手足が動かなくなったりすることもあります。

脊髄梗塞 せきずいこうそく、英語:Spinal Cord Infraction

脊髄の血管がつまって、その部分の組織が壊死する病態です。脊髄梗塞の場合は、脊髄に直接栄養を与えている動脈の硬化によるものはむしろ少ないとされ、大動脈などの脊髄外の血管に原因のある場合が多いようです。症状は急に起こり、急性期を過ぎると回復傾向となりますが障害の範囲に応じた後遺症を残します。 例えば、両下肢の麻痺(対麻痺)または四肢麻痺、温度と痛みの感覚が損なわれるけれども、触覚、位置覚、振動覚は保たれる解離性知覚障害、膀胱や直腸の障害が急激に現れます。これらの症状の組み合わせを前脊髄動脈症候群といいます。また、脊髄の片側だけが障害され、片側の下肢の運動麻痺と反対側の下肢の温度覚・痛覚、触覚の低下が組み合わさって起こることがあり、これをブラウン・セカール症候群といいます。いずれの場合も、損なわれた脊髄の部位に強い痛みを伴います。

二分脊椎 にぶんせきつい、英語:Spina Bifida

先天的に脊椎骨が形成不全となって一部の椎弓が欠損している神経管閉鎖障害の一つ。そのなかには、脊髄が形成不全を起こし様々な神経の障害を生じる場合があります。 二分脊椎症には2つに大きく分けることができ、神経組織が皮膚に露出している開放性二分脊椎と、神経組織は皮膚に覆われて皮下で神経組織が脂肪などと癒合している潜在性二分脊椎があります。複数の病因の関与が推定されており、環境要因として胎生早期における葉酸欠乏、ビタミンA過剰摂取、抗てんかん薬の服用、遺伝要因として人種、葉酸(ようさん)代謝の多型(遺伝子の型)が知られています。しかし、母親が自分の妊娠に気づくよりも前の段階のころで、両親のコントロールの及ばないところに原因があります。

キアリ奇形 きありきけい、英語:Chiari Malformation

小脳や脳幹部を入れる後頭蓋窩に存在する神経組織が、頭蓋骨から頚椎の中まで落ち込んでいる状態で先天性と後天性があります。キアリ奇形の原因は不明であるが、中枢神経の異常ではなく後頭骨から上部頸椎の骨形成にや、出生時の外傷や妊娠中の薬の影響などの環境要因、遺伝的要因などの説があります。1896年にキアリにより4型に分類されています。その中で2型から4型は神経系の奇形を合併し、ほとんど出生時や乳児期に発症します。そのものの病態よりも奇形により起こる脊髄空洞症が障害を及ぼす事が多いです。

脊髄空洞症 せきずいくうどうしょう、英語:Syringomyelia

脊髄の中に脳脊髄液が貯まり空洞が脊髄を内側から圧迫することによる、脊髄の機能障害のことである。様々な神経症状や全身症状をきたします。次の4つに分類することができます。(1)キアリ奇形に伴う脊髄空洞症、(2)癒着性くも膜炎に伴う脊髄空洞症、(3)脊髄腫瘍に伴う脊髄空洞症、(4)脊髄出血後の脊髄空洞症

水頭症 すいとうしょう、英語:Hydrocephalus

脳脊髄液が頭蓋腔内に通常より多量に貯まり、脳室が正常より大きくなる病気である。大量にたまった脳脊髄液による脳の圧迫が、脳機能に悪影響を与える。おもに乳幼児に多くみられる。二分脊椎などの先天奇形では、脳脊髄液の循環経路のどこかに閉塞(または狭窄)を伴っていることにより起こることが多いです。

背柱側弯 せきちゅうそくわん、英語:Scoliosis

正常な脊柱を横から見ますと、頚椎は前に、胸椎は後に、また、腰椎は前に向かってゆるやかに弯曲しており、生理的弯曲と呼ばれています。正常の脊柱は前あるいは後ろから見れば、ほぼまっすぐです。これに対して側弯症では、脊柱が横に曲がり、多くの場合は脊柱自体のねじれを伴います。側弯が進行すると呼吸障害などの重大な障害がいろいろ生じ内臓にも影響を及ぼします。側弯症のうち、大部分は学童期の後半から思春期に発生します。その多くは、早い時期に発見して治療を受ければ、進行してひどくなるのを止められます。肩の高さが左右で違うなど、自覚症状のある場合もあるが、初期における発見は難しいため、ある程度成長してしまってから気がつく場合が多いです。

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その他の関連用語

導尿 どうにょう、英語:Self-Catheterization

排尿困難の治療に改善が見られない場合や排尿困難に陥った時、自分で膀胱に管を入れて、定期的に残尿を排出することをいいます。一般的にはカテーテルを尿道から挿入し、膀胱内の尿を体外に誘導する尿道カテーテル法のことをいいます。

クオリティ・オブ・ライフ 英語:Quality of Life;QOL

一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指します。人が充実感や満足感を持って人間らしい日常生活を送っているか、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの「幸福」とは、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から計られる。

日常生活動作 にちじょうせいかつどうさ、英語:Activity of Daily Living; ADL

食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指します。それぞれの行動の自立度を評価し障害の程度をはかる重要な指標となっています。車椅子の操作、歩行、階段の昇降などの身体運動のみならず、精神活動やコミュニケーション能力も含まれます。

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